生前整理は親孝行&子ども孝行
こんにちは、ねこのてです。
今月もねこのて通信をお届けします。
安全に暮らすための整理
「⽣前整理」と聞くと、抵抗を感じる⼈も、「⽣前整理は親孝⾏・⼦ども孝⾏」と聞くとどうでしょうか。
今、寝たきりの⾼齢者の8割が、⾃宅で転んだけがが原因といわれますが、その転倒の理由の⼀つが、物です。
収納庫からあふれた物が通路を狭くし、そこを⾏き来するうちに転び、そばに置いてあった箱で腰やろっ⾻を打って⾻折してしまいます。
こんな事がありました。
あるご夫妻が住む2階建てのご⾃宅は、1階のリビングも和室も、服を中⼼に物でいっぱいでした。
しかし、体を悪くしたお⽗様が階段を上がれなくなったため、寝室を1階に移そうとしたのですが、物であふれかえっていて介護ベッドも⼊りません。
それでも物に対するお⺟様の思い⼊れは強く、最初に訪問した時も、1階の物を2階へ移すだけでした。
それ以降も、処分のため引き取ったハンガーラックを、「やはり残したい」と泣いて電話してこられることもありました。
でも、結果的にちゃんと物の整理ができたのです。なぜできたのでしょうか。
⼀つは、物を減らして安全に暮らしましょうとお話し続けたことが関係しています。
物を減らすのはマイナスなことではなく、安全な⽣活を⼿に⼊れるプラスの出来事であることを伝え続けました。
また、娘さんが物を整理をする姿を⾒て、これれ以上⼦どもに⼤変な思いをさせられない、と理解してくれたことも⼤きかったと思います。
⽣前整理は、親が安全に暮らすための親孝⾏であるとともに、⼦どもたちへの負担をなくす、⼦ども孝⾏でもあるのです。
整理を進めるコツ
もう⼀つは、気持ちが満たされたことが、⼤きな要因になっています。
先ほどのお⺟様は、服に執着⼼があり、「捨てると私の⼼が壊れる」と⾔って、処分できなかったのです。
その気持ちが変わったのは、周囲がお⺟様の気持ちを理解したからだと思います。
⼦どもの服を⾃分で縫っていたお⺟様にとって、服は愛情の結晶でした。
それが分かってから、私も「お⺟さんは愛情いっぱいの⼈だったのですね」と話しかけていきました。
それによって、だんだん⼼が満たされたのだと思います。
親御さんと上⼿に⽣前整理を進めるコツは、親御さんの気持ちを尊重することだと、改めて実感した出来事でした。
頭で分かっていても、⽚付かずに悩む⼈はたくさんいます。
そんなときは、無理して⼀度に整理する必要はありません。
今⽇はこの押し⼊れ、次はあの引き出しの中など、少しずつやるのがコツです。
⼀気に⽚づけてしまうと、その時はスッキリしても、後で寂しくなることもあります。
慌てず⼀つ⼀つ、けじめをつけるつもりで進めてみましょう。
ポイントは、残す物の数を決めることです。
そして、不要な物は捨てるのではなく、リサイクルショップに引き取ってもらうと、誰かに使ってもらうことができます。
思わぬお⼩遣いになることもあります。
そして、家族といっしょに⽚づけを楽しみましょう。
会話も弾み、きっと良い思い出になります。(続く)
ねこのて通信は毎月第一月曜日に更新いたします。