遺品は亡くなった⼈の最後のメッセージ
こんにちは、ねこのてです。
今月も弊社代表、宮脇によるねこのて通信をお届けいたします。
遺品がゴミ収集⾞の中に消えていく…
叔⽗が亡くなったことを教えてくれたのは、叔⺟でした。
叔⽗は⽣前、不動産の仕事をしており、⼀時はとても⽻振りが良かったようです。
私がお⾦がなくて困っていたとき、娘の進学費⽤を⽤⽴ててくれたこともあります。
困っている私を気にかけてくれたのだと思います。
叔⽗は15年前に離婚しており、家族はいませんでした。
息を引き取ったのは病院。晩年は⼼を病んでいたようです。
叔⺟から連絡を受け、叔⽗が最後に暮らした家を⽚付けに⾏ったときのこと。
私はそこで、衝撃的な場⾯を⾒ました。
叔⽗の遺品が、ゴミ収集⾞に次から次へと⼊れられていくのです。
「え?なんでゴミ収集⾞なの?」と思いました。
叔⽗の遺品が廃棄物として⽚付けられることに、⼤きなショックを受けたのです。
叔⺟に聞くと、「亡くなった⼈の所有物はゴミでしかない」とのこと。
叔⺟は合理的な考え⽅の持ち主だったので、そう思ったのでしょう。
でも、私には耐えられない光景でした。「ちょっと待ってください!」。
ゴミ収集の作業員さんに声をかけ、あわてて部屋に⼊りました。
私は、押し⼊れの中にあったノートに⽬を⽌めました。
そこには、叔⽗の⽇記が記されていました。
20〜30冊にも及ぶそのノートを抱え、私は叔⽗の遺品として⾃宅に持ち帰りました。
⾃宅に戻り、全部のノートを読みました。
⽼いて⽣活保護を受けるようになった⾃分は社会のお荷物であり、世間に申し訳ないなど、叔⽗の切ない気持ちがつづられていました。
ふと、私の名前が書いてあるページを⾒つけました。そこにはこうありました。
「お墓を頼む」。
遺品を囲んで亡くなった⼈を思い出す時間
これを読んだ瞬間、涙があふれて⽌まらなくなりました。
私は叔⽗にとって、初めての姪っ⼦でした。
亡くなる間際まで私のことを思ってくれていたこと、頼りにしてくれていたこと…。
叔⽗の⼼中を思うと泣けて泣けて仕⽅ありませんでした。
この出来事で、私は実感しました。
遺品には、亡くなった⼈の想いが込められている。
それはゴミなどではなく、最後のメッセージなのだと。
ちょうどその頃に知ったのが、遺品整理⼠の資格です。
当時、遺品整理⼠は⼥性のする仕事ではありませんでした。
引っ越し業のように重い物を持ち上げたり、体を使って物を運んだりするので、男性が圧倒的に多い職種でした。
でも私は、遺品整理の仕事をしたかった。
亡くなった⼈の想いを⼤切にする仕事をしたかったのです。
講習を受け、私は兵庫県初の⼥性遺品整理⼠になりました。
最初は仕事がなく、チラシを作ってポスティングして歩いたり、
遺品整理ではなく不⽤品回収に明け暮れていたこともあります。
でもやっているうち、1件、また1件と遺品整理の依頼が来るようになりました。
この仕事をするようになってからのエピソードは、次の号で詳しく語りますが、
いま改めて思うのは、「遺品は家族の絆を深める」ということです。
私は、遺品を囲んで残されたご家族が会話しているところを⾒るのが好きです。
ああだったよね、こうだったよね、と語り合いながら、亡くなった⼈と過ごした時間を思い出す。
そんな場⾯を⾒たとき、亡くなった⼈の最後のメッセージが伝わっているな、と思うのです。 (続く)
毎月第一月曜日にねこのて通信を配信していきます。