「⼈⽣最後のお引っ越し」その本当の意味
こんにちは、ねこのてです。
今月も弊社代表、宮脇によるねこのて通信をお届けいたします。
物ではなく、想いを家族のもとに
遺品整理は、⼈⽣最後のお引っ越し。私はそう思っています。
ただし、引っ越しに持って⾏っていただくのは、「物」ではありません。
「気持ち」や「想い」です。
私たちは遺品整理のとき、たくさんの物の中から、亡くなった⽅が⼤事にしていたものを選りすぐり、残していきます。
いっしょに暮らしていたわけでもないのに、なぜご本⼈が⼤事にしていたものが分かるの?と思われるかもしれません。でも、分かるのです。
ある⾼齢男性の遺品整理をさせていただいたときのこと。
亡くなる前まで住んでいたご⾃宅にうかがうと、いたるところに奥様の写真が貼ってありました。
奥様のことが好きで好きでたまらなかったことが伝わってきました。純愛です。
私たちは、遺品の中から、奥様と交わしていたお⼿紙を⾒つけました。
若いころ、奥様と⽂通されていたのです。それを遺品として残させていただきました。
ある⼥性のご⾃宅からは、家計簿と育児⽇記がたくさん出てきました。
それを⾒たとき、⽇々の暮らしへの愛着と、娘さんへのあふれる想いが伝わってきました。
娘さんに確認してもらったところ、「これ、私がまだお腹の中にいるときの話やんな。40年以上も前のやで」とうれしそうに育児⽇記を⾒ておられました。
お⺟さんと娘さんの想いがつながった瞬間でした。
この育児⽇記こそが遺品だと、⼼から思いました。
思い出の質量はミカン箱1つ分
「⾃分がいなくなったあとも残しておきたい思い出の質量は、ミカン箱1つ分ですよ」。
私はそんなふうにお伝えしています。
私も残したいものを選別し、箱に⼊れてみたことがあります。
⾒事にミカン箱1個に収まりました。ミニアルバム、へその緒、家族それぞれへの⼿紙。
量としてはわずかですが、私にとっては⼤切な想いそのものです。
最近、少し気がかりなことがあります。
コロナをきっかけに、遺品整理に⽴ち合うご家族が減ったことです。
SNSでやりとりしながら遺品整理ができるようになったというのも、その背景にあると思います。
⽴ち合わなくでも、遺品整理はできます。
でも、同じ空間にご家族がいらっしゃらないことに、少し寂しさを感じています。
遺品整理では、亡くなった⼈の良い⾯も、そうでない⾯も垣間⾒えます。
お⽗さんが残された⼤量のAVビデオを⾒て、娘さんが烈⽕のごとく怒った、というケースもありました。
でも、どんな⽅も、ひたむきに⽣きてこられた道のりがある、輝いていた時間があると思い
ます。
仕事仕事で家にいなかった頑固なお⽗さんが、奥様の写真をたくさん残しておられたことがありました。
それを⾒た娘さんが、「こんな写真を残すような⼈だったとは…」と驚かれたことがあります。
遺品は、その⼈の外⾒からは分からない本⾳が⾒えます。
その本⾳が、家族のわだかまりを解くこともあります。
⽣前に伝え切れなかった本⾳を、遺品を通してご家族にきちんとお渡しする。
それによってご家族の⼼が穏やかになればと思っています。 (続く)
毎月第一月曜日にねこのて通信を配信していきます。